漫画が売れてない? デジタルネイティブな世界になると、権利をデータ化しておかないと損をする
漫画もとうとう販売数が初めて13%減になったそうな。
出版科学研究所は25日、2017年の出版市場が前年比7%減の1兆3701億円だったと発表した。前年割れは13年連続で市場はピークの半分に縮んだが、関係者を驚かせたのはその内訳だ。最後の砦(とりで)の漫画単行本(コミックス)販売が13%減と初めて2ケタの減少に沈んだのだ。苦境の背後には急速にはびこり始めた海賊版サイトの拡大がある。
[blogcard url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26157560V20C18A1TI1000/?n_cid=MELMG011 title=出版、最後の砦マンガ沈む 海賊版横行で販売2ケタ減 content=コミックスの落ち込みはもっとひどいのでは」。実際、取次大手のトーハンによると17年4~9月の漫画の売上高は前年同期比18%減。]
これは実数をみたことではじき出している数字なんだけど、本当にそうかと言う事も考えてしまう。
電子化が進み、電子書籍が漫画の出版として当たり前になってきた現在では、その取り扱い件数が、野放図に増えてしまったのではないだろうか?
出版の編集担当が、私の役目は300人のフォローワーがいる絵師を30,000人に増やすことなんてことを言っていて、Twitterのつぶやき経由で漫画が売れるとうそぶいている人がいるそうで、それって何年前のデータに基づいているのやら。
今のソーシャルの接触率は、タイムラインに流れてくる接触率としてエンゲージメントが大事だから、いくら、そのSNSアカウントがフォローされていようと、広告的つぶやきは既に効果がないと言って差し支えはないだろう。
そもそも、今のSNSのクリックレートは、0.005くらいだから多くて150人がそのツイートのリンク先を見る。
んで、そのリンク先で購入するコンバージョン、成約が5%だから、7.5人が購入するって話ですが、漫画がフリーミアム化してアプリなどが乱造されている現在では、その購入という数字自体が取れない。
まあ、アプリなどは週刊などで連載されていると、定期的にアプリに直接見に行く動態があるので、SNSのリンクなどは購入などの購買にはつなげない方が実は良かったりする。
SNSはあくまで、情報を取得するためのツールであって、その取得したり流れてきた意見を元に、考え整理して自分の論主にするような考える力が使うには必要だ。
なのに、そこに、販売をするためのフックとして使ってしまうと中々、成約に結びつかないプロモーションになってしまう。
だから、本来は、SNSへの投稿は漫画を書く人もイラストなどを載せたり、コミックス化するに当たって出てきた裏話といったものをダダ漏れさせるような、情報の蛇口にするべきなのに、編集の方はマーケティングツールとしてのツイッターなんて感覚を持っている。
本当に漫画が売れなくなったのか??
このグラフを見ればわかるけど、実際に、落ちているのは確かだけど、出版の落ち込みよりも酷い落ち方をしているのは違う原因があるのではないだろうか?
漫画というものが出版社の出すコミックスだけだった自体からアプリなどに遷移をして、そのアプリがフリーミアムで広告流通モデルになっている。
だから、漫画を読むと言う行為時代が、一過性のもので、コミックス化されるべきでもない作品までされた結果として、販売数自体も落ちてしまったのではないだろうか?
この辺りは言い過ぎの面もあるかもしれないが、編集と二人三脚で作るって言うような作り方も失われてきているわけで、ジャンプなども販売数を落としていたり、作品を厳選して作るとか、その指標を読者アンケートだけに求めるとか、違う方針に転じるべきだったものを、だらだらと続けてしまった結果とも言えるのかもしれない。
では、どうするべきなのか?
ジャンプなどはジャンプというパッケージで、その旗の下、努力・友情などのキーワードがジャンプなんだと喧伝してみているけど世界観を雑誌で既定して、その路線にそった作品だけを集めていると飽きられてしまったら終わりの気もする。
であれば、マーベルのように、人気作品を柱にした作品群でアンソロジーなどを作って一つの作品の世界を広げていくなどの努力も必要な気がする。
それは、漫画家の正社員化という手法でもあったりする。
ワンピース株式会社があって、その作品から本流であるワンピースと、その作品からスピンアウトして別で世界を広げていく作品をアンソロジーとして出して行くことで、ヒットした作品を広めて行くという手法だってあるはずだ。
今は、そうした意味で、ドラゴンボールなどがそうした手法で作られているしね。
まあ、元来、アニメでも連載に追いついた場合は、アニメオリジナルの作品を作ったりして間を持たせていたわけで、今はドラゴンボール超などは全くのオリジナル(原作は鳥山明が書いているのか?)だし、コミックスの絵だって鳥山明が書いているわけではない。
他にも、Vジャンプで連載されているのか、ドラゴンボールSDといった作品もあったり違う表現手法でドラゴンボールという作品を元にリメイクとは違う言い方やリブートのような形で著作権を有効活用している。
だから、今、人気があったりする作品を誰かに引き継ぐのではなく、アシスタントを雇用して漫画を書いていくならば、新作を書かせて雑誌に掲載するという道もあるのだろうが、人気に乗っかって、その漫画家のアンソロジーやスピンオフを書いて一つの作品を広げていくということも必要な気がする。
そうすることで、一人の作家での限界を超えることも出来るし、長期連載をしている作家が連載ペースをコントロールすることも出来る様になるわけで、ヒット作から如何に儲けを拡大するのか?というような作り方もあるのではないだろうか?
アニメで言えば、ヱヴァンゲリヲンなどはそうしたアンソロジーなどもたくさん出ていたり、アニメ版、漫画版、ゲーム版といった分岐もあったわけで、ヒット作をしゃぶりつくしたり、するような作品展開というものを編集が作る力やマーケティングをする能力がないなら提案をするべきではないだろうか?
昔、人気のあった作品を昔人気あったで終わらさないで、その世界を如何に広めて行くことが出来るのか、食い扶持を増やして行くのか?という視点も必要だろう。
フリーミアムも問題があるので、それをうまく取り入れる視点を持つべきだろう
また、こうした形にすればフリーミアムモデルで広めて行く必要もなかったりするわけではあるし、電子化で、それこそブロックチェーンでタグ付けをしてその作品の元データを電子化しておくことで、スキャンデータも正規品とそうではないものにはDMCAへの自動通報機能などを作る等して海賊版を取り締まることで、海賊版を排除するのではなく、意識しないで取り除く仕組み作りをするというシステム化の方が大事な気がする。
広告のレコメンドと結びつけたメディアへの広告ソリューションなどはあるけど、そうした取り組みがいまいち足らない出版が売り上げ減を嘆くなら、正規品としてのタグ付けやトレーサビリティの仕組みなどをきちんと作り、管理して監視を仕切ってから、海賊版を嘆く方がマシ。
そんな海賊版があるから売り上げが落ちるなんて神学論争は辞めて、それを如何に防ぐ手段を持つのか?と言う事が必要だし、コレを取り入れることが出来れば、余分なDRMなんて必要なくなる。